十分な時間寝ているはずなのに朝から疲れが残っている。仕事中に集中力が続かず、日中はいつも眠気を感じてしまう。
その一方で「睡眠時間は足りているのになぜだろう?」と疑問に思い、スマートフォンで調べている方も多いのではないでしょうか?
実際、睡眠に関する悩みは「短時間しか眠れていない人」だけのものではありません。一定の睡眠時間を確保していても、眠りの内容によっては脳や身体が十分に回復せず、疲労感や集中力低下が続くことがあります。
この状態は、睡眠の“質”が低下している場合に見られるとされています。
睡眠医学では、睡眠は単に時間を確保すればよいものではなく、眠りの深さや途中で目が覚める頻度など、複数の要素によって評価されます。
この記事では「睡眠の質」とは何を指すのか?なぜ睡眠時間だけでは不十分なのかについて、医学的に確認されている考え方をもとに整理して解説します。

睡眠は「時間」よりも「質」が重要とされている

睡眠について調べると、「1日7〜8時間眠ることが推奨されている」といった情報を目にすることが多くあります。実際、一定の睡眠時間を確保することは健康維持の基本とされています。
しかし、睡眠医学の分野では、睡眠は時間だけで評価できるものではなく、「どのような睡眠がとれているか」が重要とされています。
十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、次のような状態が続く場合、睡眠の質が低下している可能性があります。
- 朝起きたときに疲れが残っている
- 日中に強い眠気を感じることが多い
- 仕事や作業中に集中力が続かない
- うっかりミスが増えたと感じる
このような症状は、睡眠中に脳や身体が十分に回復できていない状態で起こることがあるとされています。睡眠は単なる休息ではなく、身体の修復や脳の情報整理など、重要な生理的機能を担っています。
そのため、睡眠の内容が不十分であれば、睡眠時間が足りていても回復効果は限定的になります。
睡眠の質とは、具体的には次のような要素を含む概念です。
- 途中で目が覚めず、まとまって眠れているか
- 深い睡眠の時間が十分に確保されているか
- 寝床にいる時間のうち、実際に眠れている割合が高いか
これらの要素は、睡眠時間とは別に評価されます。そのため、「長く寝ている=質の高い睡眠」とは限らず、睡眠時間が同じであっても、質に差があれば回復の度合いに明確な違いが生じるとされています。
睡眠の質が低いと回復が不十分になる理由

睡眠の質が重要とされる理由は、睡眠が単なる「休憩時間」ではなく、脳や身体の回復を目的とした生理的なプロセスだからです。
睡眠中には、身体機能の修復や脳の情報整理などが段階的に行われています。そのため、睡眠の内容が乱れると、回復が十分に行われない状態になります。
睡眠は複数の段階で構成されている
睡眠は大きく分けて、ノンレム睡眠とレム睡眠という異なる状態を周期的に繰り返しています。特に、ノンレム睡眠の中でも深い睡眠は、身体の回復に深く関わるとされています。
- ノンレム睡眠:脳と身体を休ませる睡眠
- レム睡眠:脳が活動し、記憶の整理などが行われる睡眠
これらがバランスよく繰り返されることで、睡眠による回復効果が得られます。しかし、途中で何度も目が覚めるなどして睡眠が分断されると、このリズムが乱れやすくなります。
途中で目が覚めると深い睡眠が不足しやすい
深い睡眠は、身体の修復や疲労回復に関係しているため、この時間が短くなると、睡眠時間が足りていても回復感が得られにくくなります。
睡眠効率の低下が回復不足につながる
睡眠の質を考える上では、「睡眠効率」という指標も用いられます。これは、寝床にいる時間のうち、実際に眠っている時間の割合を示すものです。
- 寝床にいる時間が長くても、覚醒している時間が多い
- 入眠までに時間がかかる
- 夜間に何度も目が覚める
このような状態では、睡眠効率が低下し、結果として回復効果が十分に得られなくなるとされています。睡眠時間だけを確保しても、質が伴わなければ、疲労や眠気が残りやすくなる理由の一つです。
睡眠の質を評価する主な指標

睡眠の質は感覚的なものとして語られがちですが、睡眠医学ではいくつかの指標を用いて評価されます。これらの指標は、睡眠時間とは別に、睡眠の内容を客観的に捉えるために用いられています。
睡眠効率
睡眠効率とは、寝床にいる時間のうち、実際に眠っている時間がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。一般的には、睡眠効率が高いほど、無駄の少ない睡眠がとれている状態とされます。
- 寝床に入ってから眠るまでに時間がかかる
- 夜中に何度も目が覚める
- 目が覚めたあと、なかなか再入眠できない
これらの状態が続くと、睡眠効率は低下しやすくなります。
入眠潜時
入眠潜時とは、寝床に入ってから実際に眠りにつくまでにかかる時間を指します。入眠までに時間がかかる状態が続くと、睡眠の質が低下している可能性があります。
- 布団に入ってもなかなか眠れない
- 考え事が頭から離れない
- 眠ろうと意識するほど目が冴える
中途覚醒の回数と時間
深い睡眠(徐波睡眠)の確保
これらの指標を総合的に見ることで、「どれくらい眠ったか」ではなく、「どのような睡眠がとれているか」を判断することができます。
睡眠時間を確保しても質が低ければ十分な休養にはならない

睡眠は、単に長く眠ればよいものではありません。睡眠時間が十分であっても、途中で何度も目が覚めていたり、深い睡眠が不足していたりすると、脳や身体は十分に回復できないとされています。
これまで見てきたように、睡眠の質は、睡眠効率や中途覚醒の有無、深い睡眠の確保など、複数の要素によって成り立っています。そのため、「何時間寝たか」だけで睡眠の良し悪しを判断することはできません。
朝起きても疲れが取れない、日中に眠気や集中力の低下を感じるといった状態が続く場合、睡眠時間だけでなく、睡眠の質そのものに目を向けることが重要です。
睡眠を見直す際は、時間と質を分けて考えることが、問題を整理する第一歩になります。

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