家族やパートナーから「いびきがひどい」と言われたことはありませんか?仕事中や運転中、我慢できないほどの眠気に襲われることはありませんか?
「年齢のせい」「疲れているだけ」「睡眠時間は取れているから大丈夫」そう思いながら過ごしている人は少なくありません。
しかし、いびきや日中の強い眠気が慢性的に続いている場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れている可能性があります。
この病気は、眠っている間に何度も呼吸が止まることで睡眠の質が著しく低下し、自覚のないまま体に負担をかけ続けるのが特徴です。
すぐに病院へ行くべきなのか、それとも様子を見てもよいのか?判断に迷う方のために、本記事では「セルフ判定チェック」を用いて、睡眠時無呼吸症候群の可能性を整理します。
なお、ここで行うセルフ判定は診断ではなく、医療機関を受診するかどうかを考えるための目安として解説します。

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする状態を繰り返す病気です。
本人には自覚がないまま進行することが多く、周囲からの「いびきがひどい」「寝ている間に息が止まっている」という指摘で初めて気づくケースも少なくありません。
特徴的なのは、しっかり寝たはずなのに疲れが取れない点です。
睡眠中に呼吸が止まるたびに体は低酸素状態になり、脳は覚醒に近い状態へ引き戻されます。その結果、深い睡眠が妨げられ、睡眠時間が足りていても睡眠の質が大きく低下します。
「ただのいびき」「疲れやすい体質」と軽く考えられやすい一方で、放置できない睡眠障害の一つです。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状

睡眠時無呼吸症候群の症状は、大きく「夜間」と「日中」に分かれて現れます。重要なのは、これらが単独ではなく、複数重なって起こる点です。
特に夜間の異常は本人が自覚しにくく、日中の不調だけが続いて原因が分からないまま放置されるケースが少なくありません。
夜間に起こりやすい症状
睡眠中は自分の状態を確認できないため、家族やパートナーからの指摘が重要な判断材料になります。以下のような症状は、気道が塞がり、正常な呼吸が妨げられている可能性を示します。
- 大きないびきをかく
- いびきが途中で止まり、しばらくして再開する
- 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
- 夜中に何度も目が覚める
- 寝汗をかきやすい
- 起床時に口や喉が強く乾いている
いびきだけで判断するのではなく、「止まる」「乱れる」といった呼吸の質に注目する必要があります。
日中に現れやすい症状
夜間の呼吸障害が続くと、脳と体は深い睡眠を確保できません。その結果、睡眠時間を確保していても、日中にさまざまな不調が現れます。
- 日中に我慢できないほどの眠気を感じる
- 仕事や会議中に集中力が続かない
- 起床時から頭が重く、頭痛がある
- 十分寝ているはずなのに疲労感が残る
- 判断力や記憶力が落ちたと感じる
特に、運転中や単調な作業中に強い眠気が出る場合は注意が必要です。これは単なる「眠不足」ではなく、睡眠の質そのものが崩れている可能性を示しています。
睡眠時無呼吸症候群セルフ判定チェック

ここからは、睡眠時無呼吸症候群の可能性を整理するためのセルフ判定チェックです。あくまで医師による診断の代わりではありませんが、「受診を検討すべきかどうか」を判断する目安として使えます。
以下の項目について、現在の状態に近いものを確認してください。
- 家族やパートナーから、いびきが大きいと指摘されたことがある
- 寝ている間に呼吸が止まっている、またはいびきが途中で止まると言われたことがある
- 睡眠時間は確保しているのに、日中に強い眠気を感じる
- 会議中や作業中、運転中にうとうとしてしまうことがある
- 朝起きたときに頭が重い、または頭痛を感じることがある
- 起床時に口や喉が強く乾いていることが多い
- 夜中に何度も目が覚める、または熟睡感がない
- 高血圧を指摘されたことがある、または治療中である
- 肥満傾向がある、または首周りが太いと感じる
これらの項目に複数当てはまる場合、睡眠中の呼吸が正常に保たれていない可能性があります。
次の項目では、チェック結果をどのように受け止め、次に何を考えるべきかを整理します。
セルフ判定で要注意と出た場合の考え方

セルフ判定で複数の項目に当てはまった場合「すぐに治療が必要なのか?」「様子を見てもよいのか?」と迷う方も多いはずです。
ここで大切なのは、セルフ判定の結果を過剰に恐れすぎない一方で、軽く考えすぎないことです。
睡眠時無呼吸症候群は、症状の重さに個人差があります。軽度の段階では自覚症状が乏しいこともありますが、放置すると徐々に睡眠の質が低下し、日中の眠気や体調不良が強くなる傾向があります。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- いびきや呼吸停止を家族から繰り返し指摘されている
- 日中の眠気が仕事や運転に支障をきたしている
- 十分な睡眠時間を取っても疲労感が改善しない
- 高血圧や心臓・血管系の病気を指摘されたことがある
これらに当てはまる場合は、「もう少し様子を見る」よりも、医療機関での相談を検討する段階といえます。
早めに状態を確認することで、重症化を防ぎ、生活の質を保つことにつながります。
次のパートでは、医療機関で実際にどのような検査が行われるのかを整理します。
医療機関で行われる検査内容

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、医療機関では「本当に無呼吸が起きているのか?」「どの程度の重さなのか?」を客観的に確認します。症状の訴えだけで判断することはなく、数値に基づいた検査が行われるのが特徴です。
検査は、大きく分けて「簡易検査」と「精密検査」の2段階があります。
自宅で行う簡易検査
多くの場合、まずは自宅で行える簡易検査が実施されます。小型の検査機器を装着して一晩眠り、睡眠中の呼吸状態や血中酸素濃度などを記録します。
- 鼻や指にセンサーを装着して眠る
- 普段どおりの睡眠環境で検査できる
- 無呼吸・低呼吸の回数や酸素低下を確認できる
身体的な負担が少なく、「本格的な検査が必要かどうか」を判断する目的で行われます。
入院または専門施設で行う精密検査
簡易検査で異常が疑われた場合、精密検査が行われます。これは「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」と呼ばれる検査です。
- 脳波・呼吸・心拍・血中酸素濃度などを同時に測定
- 睡眠の深さや無呼吸の種類まで詳しく分かる
- 重症度の判定に用いられる
この検査結果をもとに、治療が必要かどうか、どの治療法が適しているかが判断されます。「検査=すぐ治療開始」というわけではなく、状態に応じて方針が決められます。
睡眠時無呼吸症候群の主な治療法

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合でも、すぐに重い治療が始まるわけではありません。重症度や原因、生活状況に応じて、いくつかの治療法の中から適したものが選ばれます。
重要なのは、「いびきを止めること」ではなく、「睡眠中の呼吸を安定させ、体への負担を減らすこと」です。
CPAP(シーパップ)療法
中等症から重症の場合に、最も標準的に行われる治療がCPAP療法です。睡眠中に専用の機器を装着し、空気を送り込むことで気道が塞がるのを防ぎます。
- 睡眠中の無呼吸・低呼吸を大幅に減らせる
- 日中の眠気や倦怠感が改善しやすい
- 健康保険の適用対象になる
装着に慣れるまで違和感を覚えることもありますが、効果が高く、継続することで生活の質が改善するケースが多い治療法です。
マウスピース(口腔内装置)
軽症から中等症の場合、歯科で作成するマウスピースが選択されることもあります。下あごを前に出すことで、気道が狭くなるのを防ぎます。
- 比較的軽い症状に向いている
- 持ち運びしやすく、旅行時も使いやすい
- 歯やあごへの負担が出る場合もある
症状や口腔の状態によって適応が分かれるため、医師と歯科医の連携が重要になります。
生活習慣の見直し
治療とあわせて、生活習慣の改善が勧められるケースも少なくありません。特に体重管理や飲酒習慣は、症状に大きく影響します。
- 体重を適正に保つ
- 就寝前の飲酒を控える
- 仰向け寝を避ける工夫をする
これらは単独で治療になるわけではありませんが、症状の悪化を防ぐ重要な要素です。
睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなるのか

睡眠時無呼吸症候群は、「眠りの問題」にとどまらない点が大きな特徴です。睡眠中に低酸素状態と覚醒を繰り返すことで、体には長時間にわたって負担がかかり続けます。
この状態を放置すると、次のようなリスクが高まることが、医学的に確認されています。
- 高血圧の悪化や新規発症
- 心筋梗塞や心不全などの心疾患リスク
- 脳梗塞などの脳血管疾患リスク
- 糖尿病の発症・悪化
また、日中の強い眠気や集中力の低下は、生活面にも大きな影響を与えます。
- 自動車運転中の居眠り事故
- 仕事中の判断ミスや作業効率の低下
- 慢性的な疲労感による生活の質の低下
特に、本人が「慣れてしまっている」ケースでは、危険性に気づきにくい点が問題です。いびきや眠気を長年放置している場合でも、検査によって状態を把握し、適切に対処することでリスクを下げることができます。
次のパートでは、この記事全体を整理し、セルフ判定をどう活かすべきかをまとめます。
まとめ

いびきや日中の眠気は、誰にでも起こり得る身近な症状です。そのため、「よくあること」「疲れているだけ」と見過ごされやすい傾向があります。
しかし、睡眠時無呼吸症候群の場合、睡眠中に呼吸が妨げられる状態が繰り返され、本人が気づかないうちに体へ負担をかけ続けてしまいます。
今回紹介したセルフ判定チェックは、あくまで診断ではありません。それでも、「受診を考えるべきかどうか」を整理する材料としては有効です。
複数の項目に当てはまり、生活や仕事に支障が出ている場合は、一度医療機関で相談することが重要です。
睡眠の問題は、我慢するものではなく、整えるものです。早めに状態を把握し、適切に対処することで、日中の過ごしやすさや将来の健康リスクを減らすことにつながります。
出典・参考資料


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